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コンピューターとデザイン(岐阜新聞コラム「素描」#8)

人と話す時、「デザインってコンピュータでしているの?」とよく聞かれます。確かにグラフィックデザイナーにとってコンピュータは大きな存在です。でもコンピュータを使うことにいい所と辛いところがあります。
デザインの業界では、コンピュータの導入初期の頃からずっとMacを使ってきました。特にコンピュータのマニアというわけではなかったので使い方を覚えるのが大変でしたし、慣れた頃に「寿命」が来て環境が変わってしまいます。しかし、昔は絵が上手でないとデザイナーになれなかったのが、コンピュータを扱えれば関われるチャンスは増えたのかもしれません。
あと、いい所としては何度も試行錯誤ができます。色の組み合せのシミュレーションが簡単にできるし、文字も「写植」を使っていた頃はやり直すと時間・手間・お金がかかってしまう所を、今は直前まで修正ができます。しかしその分作業の後半にしわ寄せが来るのには勘弁です。
現物ではなくデータとして同じものを保存できるのも便利です。紙が色あせるなど物の劣化の心配がなくなりました。しかし便利さにかまけてうっかりしていると、コピー&ペーストをした時に日付や曜日を直し忘れるなどの失敗があります。
コンピュータは指示された計算はしてくれるし、情報もうまく保存・表示してくれますが、絵のアイデアやおもしろい企画を生み出してはくれません。営業にでかけたり人間関係に配慮したりもしてくれません。
私の場合、コンピュータの前に座っている時はデザインをしていないのかもしれません。

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