加藤孝司シルクスクリーンポスター_ポストカード
❶「グランド印刷」
1965年 728×1030mm ケント紙 シルクスクリーン 39版刷(推定)
岐阜県美術館蔵
デザイン:加藤孝司 カッティング・刷り:永瀬史朗(美濃紙業所)
このポスターの大きなダイヤは小さな36個の正方形で構成されており、それを一面ずつ刷ったと聞いています。1枚のポスターを完成するだけでも大変な労力です。
また小さな文字もすべて永瀬史朗氏によりフリーハンドでカッティングされています。1950、60年代はまだ写真製版の精度が乏しくカッティング製版が主流でした。美濃紙業所の「グランド印刷トレーニングスクール」では永瀬氏を講師としてカッティング技術の習得を中心とする教習が行われていました。(加藤由朗)
❷「16BANK」
制作年不詳 520×763mm ケント紙 シルクスクリーン 9色刷 個人蔵
デザイン:加藤孝司 印刷:岐阜グランド印刷社 クライアント:十六銀行
十六銀行のブランドイメージと商品を文字と幾何学図形で表現したものです。オフセット印刷では表現できない〈特色〉による構成が鮮やかです。本支店に掲示することを目的に100枚程度を印刷をしたと聞いています。1960から70年代にかけて継続的にシルクスクリーンに取り組んでいたころのポスターのひとつです。(加藤由朗)
❸「グランドインサツ」
1959年 755×755mm ケント紙 シルクスクリーン 8色刷 個人蔵
デザイン:加藤孝司、カッティング・刷り:永瀬史朗(美濃紙業所)
この作品は、第12回GCA(岐阜商業美術家集団)商業デザイン展(@丸物百貨店)に出品したものです。後にMoMA(ニューヨーク近代美術館)に収蔵されました。鶴と思われる鳥をモザイクタイルのように表現しています。(加藤由朗)
❹「美濃紙業所カレンダー1964年7月・8月」
1964年 392×535mm ケント紙 シルクスクリーン 3色刷 ミノグループ蔵
アートディレクター:小池光三 デザイン:加藤孝司 カッティング・刷り:永瀬史朗(美濃紙業所)
小池光三氏は岐阜市出身の印刷デザインの専門家であり、大日本印刷のプリンティングディレクター、武蔵野美術大学教授も勤めました。
私は1972年ごろ東京四谷三栄町のご自宅を訪問しました。玄関先に活版印刷機があった記憶があります。
小池氏は数多くのヨーロッパのモダンデザインを日本に紹介しました。とりわけスイス派のデザインには造詣が深く、幾何学形態による構成とタイポグラフィに関する書籍を2冊出版しています。
美濃紙業所のカレンダーでは2度アートディレクションをし、1961年版には石川三友・加藤孝司・草刈順・一万田幸司・神田昭夫・清原悦志を、1964年版には神田昭夫・勝井三雄・一万田幸司・加藤孝司・杉浦康平・亀倉雄策(敬称略、カレンダーの月順)を起用しました。(加藤由朗)
❺「雪印タイプ原紙」
1964年 728×1030mm ケント紙 シルクスクリーン 64版刷(推定) 個人蔵
デザイン:加藤孝司 カッティング・刷り:永瀬史朗(美濃紙業所)
「雪印」とは、美濃紙業所の高級謄写版原紙の名称です。
大きな正方形は64個の小さな正方形からできています。ボカシを入れた小さな紙片をたくさん作って並べ、全体の構成を考えていたようです。
〈日宣美展〉は毎年夏に締切があります。印刷をするこの時期は暑い盛りであり、工場の湿度を調整しながら刷りを繰り返したと聞いています。
(加藤由朗)
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